広瀬浅間神社の火祭り

市内の水富地区にある上広瀬浅間神社では、毎年8月21日に「広瀬浅間神社の火祭り」が行われます。当日は、地域にある富士講の会員を中心とした火祭り保存会の人たちが集まり、会場となる広瀬浅間神社の建つ富士塚において、お祭りの準備を行います。中でも、桑の木をたくさん束ねて作られる護摩木は、大小一つずつ用意されますが、2メートル半から3メートルくらいの高さになり、富士塚にある庚申堂の横に大きい方が、養蚕神社の前に小さい方が供えられます。
 この護摩木のことを、「オタキアゲ」と言っています。浅間神社に続く道路(参道)には、夕方になると露天商が店をひらき、縁日のような賑わいをみせます。火祭りのことを、地元の人たちは「スイカマチ」と呼んでいますが、昔は、実際に西瓜すいかを売る露店がたくさん店を出したとのことで、そのような呼び名があります。しかし、現在は、西瓜を売る店は出ていません。

夜になって、おはらいを行った後、まず、小さい方の護摩木に火がつけられます。こちらが燃え尽きた後に、今度は大きい方の護摩木に火がつけられます。二つの護摩木が燃えさかる様は、壮観です。
 「広瀬浅間神社の火祭り」は、養蚕の豊作、安産、鎮火の三つを祈願して行われてきたと言われます。そのため、参拝者は、安産にご利益のあるという富士塚の頂上に据え置かれたローソク立てのローソクの燈し掛を貰って帰ったり、火難除けになるという護摩木の燃えたあとの残った炭を貰って帰ったりします。その他にも「広瀬浅間神社の火祭り」には、地元の広瀬囃子保存会による広瀬囃子が奉納されたり、水富地区の女性たちによる民謡踊りが行われたりします。夏の夜の風物詩として、今でも、火祭りには大勢の老若男女が訪れます。

Translate »